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会社が破産しても、保証人の代表者は破産しなくてもいい?

まずは、経営者保証ガイドラインの利用を検討すべき

 

以前は、会社が破産をした場合は、保証人になっていた会社代表者も破産をしなければなりませんでしたが,近時は,経営者保証ガイドラインを利用した債務整理することで,会社代表者が破産を免れることができるケースが多々あります。

経営者保証ガイドラインを利用したからといって、会社代表者が保証していた債務の返済を免れることができるわけではありません。
それでも、経営者保証ガイドラインを利用した債務整理には、破産をした場合と比べて,メリットがあります。そのため、会社を破産させる場合でも、保証人になっていた会社代表者も破産する必要があると一直線に考えるべきではありません。

 

まずは、債権者保証ガイドラインを利用して債務整理をした場合にご自身のケースでどのようなメリット・デメリットがあるかを検討すべきです。そのうえで,メリットが大きいと思うのであれば、債権者保証ガイドラインを利用するべきでしょう。反対に、デメリットが大きければ、破産をしたほうがいいです。

※ そもそも、経営者保証ガイドラインって何?

「経営者保証ガイドライン」は、行政の関与のもとで日本商工会議所と全国銀行協会が共同で設置した研究会が作成した,経営者保証の取り扱いに関するガイドラインです。
あくまで「ガイドライン」なので、債権者の金融機関は、法律のように守らなといけない義務はありません。さらに、利用するためには、一定の要件を満たす必要があります。
そのため、どのような場合にも、経営者保証ガイドラインを利用して債務整理できるわけではありません。

 

 

 

経営者保証ガイドラインを利用した債務整理のメリットとは?

 

① 官報に名前が載らない

破産をした場合は、破産者の名前や住所が国の機関紙である官報に掲載されます。官報を普段から読んでいる人は少ないので、官報に掲載されるからといって、知り合いなどに破産したことが発覚することは余りないでしょう。

  

② ブラックリストに載らない

 破産をした場合には、7~10年間はブラックリストに載ります。そのため、破産後は、借金をしたり、クレジットカードを利用することができなくなります。
一方で、経営者保証ガイドラインを利用して債務整理すれば、ブラックリストに名前が載ることはありません。そのため,債務整理をした後も,クレジットカードを利用することができる場合があります。

 

③ 破産した場合よりも、手元に多くの財産を残すことができるかも

 破産した場合でも、手元に全く財産が残せないわけではありません。ご自身の財産を上限100万円までなら残せることがあります。
経営者保証ガイドラインを利用して債務整理した場合は、破産した場合に残すことができる財産に加えて、債務整理を早期に決断したことによって債権者の回収見込額が増加したなら、その増加額を上限として「インセンティブ資産」を残すことができる場合があります。

 

④ 自宅に住み続けることができるかも

破産をした場合、通常、自宅は手放すしかありません。どうしても自宅に住み続けたい場合には、親族などの協力者に買ってもらうことが多いですが、大金が必要になるのでなかなか難しいです。一方、経営者保証ガイドラインを利用して債務整理をした場合には、協力者に買ってもらわなくても、自宅を残せることができる場合があります。

 

 

経営者保証ガイドラインを利用した債務整理のデメリットとは?

 

① すべての債務が当然に債務整理の対象になるわけではない

破産をした場合は、すべての債務をゼロにすることができます。
一方、経営者保証ガイドラインを利用して債務整理をすることができるのは、原則として、金融機関(銀行、信用金庫など)に対する保証債務だけです。

会社のリース契約を代表者が保証していた場合や代表者が個人的に住宅ローンなどの借金をしていた場合、これらの債務は当然に経営者保証ガイドラインを利用した債務整理の対象になるわけではありません。

 金融機関に対する保証債務以外の債務であったとしても、すべての債権者の同意があれば、経営者保証ガイドラインを利用した債務整理の対象にすることはできます。

 ただ、同意を得ることができなければ、金融機関に対する保証債務以外の債務は、経営者保証ガイドラインを利用した債務整理をした後も、そのまま残ります。その場合、その債務については、全額の返済をするか、債務免除などを求めて個別に交渉しなければなりません。

 金融機関(銀行、信用金庫など)に対する保証債務以外の債務が多い場合は、どうしても、経営者保証ガイドラインを利用した債務整理は難しくなります。

 

② 債権者の同意が必要

経営者保証ガイドラインを利用するためには、様々な要件をクリアする必要がありますが、その要件を満たしていたとしても、必ずしも経営者保証ガイドラインを利用した債務整理ができるわけではありません。経営者保証ガイドラインを利用した債務整理をするためには、最終的には、債権者の同意が必要だからです。

 

そのため、経営者保証ガイドラインを利用しようとして手続きを進めても、結局のところ、挫折して破産をせざるを得なくなる場合があります。

 

 

まとめ

以上のように、経営者保証ガイドラインを利用するに当たっては、メリットもあれば、デメリットもあります。
そのため、経営者保証ガイドラインを利用すべきかどうかは、保証人になっている代表者がどのような債務整理を望むかによって変わってきます。
ただ、会社を破産させるしかないときでも、保証人になっていた会社代表者も破産しなければならないと直ちに考える必要はないことは間違いありません。
まずは、弁護士にご相談ください。